目次:医療人の主張&提言 目指すは「街の健康ハブステーション」日本チェーンドラッグストア協会 事務総長 今西信幸 コラム 未病息災「2000年前のノーベル賞」「未病概念取り入れた患者情報収集に取り組む」介護予防と未病対策「介護の前に未病あり」テーマに未病Lab…
日本チェーンドラッグストア協会 事務総長 今西 信幸
「2000年前のノーベル賞」
「未病概念取り入れた患者情報収集に取り組む」
一般社団法人 日本未病総合研究所 事務局長 早乙女 和雄
KRD Nihombashi
一大経済圈構想の陰に潜む新たな感染症リスク
プロバイオとプレバイ才を融合した新たなトレンド
光英科学研究所
Premec RD編集部
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・ドラッグストアの処方箋応需は患者ファースト
・街の健康ハブステーションとしての役割
・災害時に活かされる備蓄・供給機能
1970年、東京薬科大学薬学部薬学科卒業。1977年、みどり薬品株設立・代表取締役就任 (2007年迄)。1981年、医療法人秀和会設立、理事就任 (2004年迄)。1990年、医学博士号取得(東京医科大学)。2004年、医療法人慶寿会設立・代表理事就任。2011年、学校法人東京薬科大学理事長就任。2016年、日本ヘルスケア学会会長就任。2017年、一般財団法人日本ヘルスケア協会会長就任。2018年、日本チェーンドラッグストア協会事務総長就任。
最近、調剤業務を行うドラッグストアが増えています。これまで調剤をやらなかったのは、薬剤師が確保できなかったからですが、最近はドラッグストアに就職する薬剤師が増えているのです。
かつて新卒薬剤師就職先の人気ランキングは、1位が製薬会社、2位が病院、その後が薬局、ドラッグストアという順でした。今も新卒者の人気トップは製薬会社に変わりありませんが、製薬会社が採用戦略を変え、薬学研究者は採用しても薬剤師はとらなくなったので、新卒者の多くがドラッグストアを選ぶようになりました。
医療機関や調剤薬局ではなく、ドラッグストアを志向するのは、調剤だけの業務に不安を持っているからではないでしょうか。見方を変えれば、予防や介護をも担うドラッグストアの方に魅力を感じ始めていると言えます。つまりドラッグストアでも調剤併設店を多店舗展開できる人的環境が整ってきたということです。店舗面積も一般的な調剤薬局とは10倍以上の開きがあります。ドラッグストアが本格的に調剤事業に乗り出したら、薬局に行っていた処方笺客はドラッグストアに流れてくるでしょう。
ドラッグストアで調剤業務を行う際は、服薬指導や薬歴管理といった基本的な業務もさることながら、患者が利用しやすいように、利便性に配慮しなければなりません。医療機関で受け取った処方笺を別の調剤薬局に持っていき、クスリをもらう今の医薬分業は、患者にとっては二度手間となってしまいます。とくに問題なのはクスリをもらうまでの待ち時間が長いことです。ドラッグストアなら買い物をしている間にクスリを出してもらえますが、調剤薬局ではそうはいきません。
また、規制改革の流れで、薬局と医療機関の独立性をめぐる規制が2016年10月1日から一部緩和され、医療機関の敷地内に薬局を開設する、いわゆる“敷地内薬局(門内薬局)”が解禁されました。これを契機に大学病院や公立病院を中心に、規制緩和を見据えて病院敷地内に薬局を誘致する動きが活発化しています。それまで厚生労働省は、医療機関で処方笺を受け取った患者が薬局に行く場合は、いったん公道を通るよう求め、両者が隣接する場合には間をフェンスや塀で仕切るように指導していました。しかし、規制緩和により両者を隔てるフェンスや塀は不要になり、医療機関の敷地内に薬局を開くことが可能になりました。これには反対意見もありましたが、医療機関が24時間体制であるのに、処方笺を受ける薬局が夕方5時に閉店してしまえば一番困るのは患者です。患者ファーストで考えれば、少なくとも24時間、365日診療している大病院では、24時間対応できる薬局でなければならないのです。これが敷地内薬局を解禁した一番の理由です。
調剤は、保険医療の枠内にあるせいもあり、患者目線で改革を行おうという機運がなかなか生まれません。調剤業務は医療費全体の一部です。調剤技術料は1兆8,000億円と言われていますが「それに見合う価値があるのか」という議論もあります。日本の医療費は43兆円という莫大な額になっています。調剤報酬という小さな枠で議論するのではなく、生活習慣病を予防し医療費全体をどう抑えるかが大きな課題なのであり、この課題に薬局がどう貢献するかが問われているのです。調剤をどうするかではなく、医療をどうするのか。この視点が重要です。
ドラッグストアが目指す方向性を一言で表せば「街の健康ハブステーション」です。予防では食生活を見直し病気になりにくい身体づくりが欠かせませんから、管理栄養士が食事相談を受けたり、サプリメントの正しい摂取方法を助言するなどのアドバイザリー機能が求められます。ですから薬学的な知識が必要となる相談には薬剤師が、栄養学的な知識が必要な相談には管理栄養士がいなければなりません。つまり薬剤師、登録販売者、管理栄養士の3つの資格者がチームを組んで患者や地域住民のヘルスケアを担っていく。今後のドラッグストアは、そういう専門家集団が、街の健康ハブステーションとしての機能を持つことが重要だと考えています。
もう一つ大事なことは、緊急時の対応です。近年は自然災害が増えていますが、広域展開しているドラッグストアは、災害時にネットワークの強みを発揮することができます。例えば、千葉県内で豪雨災害が起き、ある地域が孤立したとしても、広域展開しているドラッグストアであれば他県から医薬品や飲食料品、生活必需品を調達し、供給することができます。ここ数年、市町村などの自治体がドラッグストアとの間で災害時における緊急物資の供給に関する協定を締結する動きが広まっていますが、これもドラッグストアの備蓄機能、そしてチェーンネットワークを活かした供給能力が高く評価されているからに他なりません。ヘルスケア製品だけでなく、衣食住全般にわたって品揃えするドラッグストアの存在は、今や災害時の重要なツールとなっていると言っても過言ではないのです。
取材:Premec RD編集部
一般社団法人 日本未病総合研究所
代表理事 福生 吉裕
令和元年10月9日、ノーベル化学賞が吉野彰(71歳) さんに決まったのはご存じの通り。日本人の一人として心より嬉しく思う。日本人で27人目である。ちょっと驚いたのは共同受賞した ジョン・グッドイナフ博士は97歳。正直言って彼はこのノーベル賞をやはり生きている時にもらえてよかったと思う。このような賞はもともとそ の時代に理解者がいてこそ与えられるもの。
しかし、本当に魁の研究というのは次元が違い過ぎ、その時代には理解する人が往往にしていな い場合が多い。研究レベルが高すぎてその時代の一般人の知的判断を遙かに超越してしまうからだ。そうなると事は変わってくる。
例えば、地動説を説いたガリレオガリレイなど は、教会派の異端者として牢獄に入れられた。また、皺芻のエンドウ豆と丸形のエンドウ豆を数代 も丹念に時間を掛けて交配させ、観察して形質が遺伝する法則を見いだしたオーストリアのヨハン・メンデルは、当時の人達からは「わけの分からない事をしている変なオジさん」であり、決して華やかな人生は送らず生涯を終えた。そして死後15年、法則を発見して35年経って、やっとそ の業績の偉大さが後世の人にも知れ渡ったという。
この視点から言うと、ノーベル賞受賞に推薦したい人がいる。それは約2000年前に“未病”という概念を創ってくれた人。健康と病気の間にもう一つの世界、未病が存在することを予言してくれた人だ。
後期高齢者の数が前期高齢者の数を上回る状況 を“重老齢社会”と呼んでいるが、未病は時空を越えて重老齢時代の現代の日本で再評価されてい る。それは日本未病システム学会により科学的に体系化され、神奈川県で実応用されて県民の健康増進と医療財政の安定化に寄与することが実証された。最初に未病を黄帝内経に記述した人物は誰 だったのか。黄帝なのか相方の儀伯なのか。もしノーベル賞が 2000年前にあったなら、この方々 に受賞してもらいたい。
(本誌論説主幹)
長野県上田市 薬剤師会常務理事
吉田 卓示
長野県上田薬剤師会では、これまでオーストラリア薬剤師会との共同事業で、「WHAT-STOP-GO」の項目を用いた覆面調査により薬剤師技能を評価し、フィードバックすることで、各薬局の 軽医療対応の水準を高めてきた。
しかしながら、未病を活用した積極的なサービスは行われていない。そこで今年度、公益財団法人一般用医薬品セルフメディケーション振興財団助成事業として、未病概念を取り入れたセルフメディケーション対応能力向上を目的とした以下のような調査、研究を進めている。
昨年12月2日には一般社団法人日本未病総合研究所の代表理事で、日本医科大学連携教授の福生吉裕先生を上田市にお招きし、上田薬剤師会会員薬剤師を対象とした未病に関する講習会を開催した。講習会では、薬局における未病の定義及び未病对応の具体的な取り組み方や重要性について学ばせて頂いた。今後はワークショップにおいて、未病概念を取り入れた患者情報収集問診票、具体的な対応 マニュアル及び紹介状の雛形を作成する計画だ。
さらに、講演会、ワークショップの参加者は、未病総研から「未病サポーター」として認定して頂き、未病サポート薬局を中心に未病対応に関す る症例を収集していく。併行して、会員薬局へのアンケート調査及び覆面調査を行い、未病に対する対応例を収集し課題をフィードバックすることで、未病への対応力向上を目指す。これらの検討によって、利用者の健康増進及び医療費削減への効果を顕在化し、未病対策への推進力向上につながることが期待される。
取材:Premec RD編集部
一般社団法人 日本未病総合研究所 事務局長 早乙女 和雄
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・活力ある健康長寿社会の実現を
・台湾の介護保険制度、持続可能性を考慮し再検討
・外国人労働者の在宅介護が台湾介護事業の特徵
介護保険制度が創設されてから20年を迎える今、財源不足と人手不足が深刻化している。介護費用は11兆円。2040年には25兆円を超えると見られる。介護離職は年間10万人。2025年には今より55万人増やす必要があるといわれている。
そんな中、未病総研コンソーシアムグループの21世紀医療課題委員会は昨年 12月17日、“介護の前に未病あり”をテーマにした「未病の日(1v2.17)」記念未病Labミーティングを、日本医科大学橘桜会館(東京都文京区)で開催した。当日は、日本未病総合研究所の福生吉裕代表理事が、中国、韓国、台湾との未病フォーラムの開催内容を報告。日本だけでなく、東アジア各国でも少子高齢社会を迎え、混迷する東アジアの医療・介護の現状を打破し、新たな起爆剤として期待される「未病」の現状を探るミーティングとなった。
武見敬三氏
細見真司氏
陳俊榮氏
ミーティングでは、「活力ある健康長寿社会の実現」(演者: WHO親善大使・参議院議員武見敬三氏)、「台湾における介護産業の現状と未病シフトの提案」(演者:デロイト・トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社アドバイサー細見真司氏) の2題の講演のほか、台北駐日経済文化代表処参事官、科学技術部長の陳俊榮氏による講演が行われた。
最初に登壇したのは参議院議員の武見敬三氏。武見氏は「1970年代から感染症の減少、国民皆保険制度の導入などにより平均寿命が延び、健康寿命も世界のトップクラスになっているが、平均寿命との差が男性で9年、女性で12年あり、この差をいかに縮めるかが課題となって いる」として、健康寿命を延ばすヒントとして“読書”が注目されてい るとした。
武見氏は健康寿命全国1位、女性全国3位の山梨県の例を挙げ、「読書を通して知的好奇心を高めることが行動を起こすきっかけとなり、さらには社会との関わりを求めて高齢者が就業する機会につながっている」として、読書効果の一端を紹介した。
また、活力ある健康長寿社会を実現していくためのキーワードとして [Value-Based Health Care =VBHC]という概念を紹介し、患者側の価値 (value) の最大化とともにコストの適正化を目指すことが最善の健康アウトカムの実現につながるとして、「未病」の考え方を活用しながら活力ある健康長寿社会を如何に実現していくかが課題だと述べた。
さらに武見氏は、地域コミュニ ティのあり方についても言及。新しい地域社会の作り方として「どうやって人と人をつなげ、地域力を高 めていくか」という課題について、小学校、図書館、老健施設、病院が一体となった複合施設「品川リハビ リテーションパーク」を例にして、 ここを拠点とした健康増進工エリアを つくれば全国のモデルケースになると指摘。今後の医療のあるべき姿として自民党内では、予防と予防的医療に着目し、さらには人生100年時代戦略本部でエージレスつまり年齢でなく、経済力に応じた「応能負担」を原則とした全世代型社会保障改革をまとめていることを報告した。
続いて講演したのはデロイトトー マツファイナンシャルアドバイザリー合同会社ライフサイエンスヘルスケアアドバイザーの細見真司氏。細見氏は、アジア諸国は今後本格的な高齢化を迎えるとして、日本に次いで高齢化率が高い台湾の現状を報告した。
人口2,300万人の台湾は1995年に、すでに国民皆保険制度を実現しているが、高齢社会に伴う介護サ一ビスへの需要の高まりを受け、日本の介護制度を参考にして介護保険制度の導入が進められ、2015年6月15日には「長期照顧服務法」が国会で可決された。同法は2019年に実施の予定となっていたが、将来の人口推移などを慎重に考慮し、現政権で再検討をすることになった。
制度実施が見送られた背景には他の要因もある。台湾ではインドネシア人を中心とする25万人を超える外国人労働者が原則住み込みで介護を行っており、費用も月額9万円程度と安価なため、これが高額な公的施設やサービスの利用を遅らせる要因となっている。
細見氏は、「台湾をはじめ東アジア諸国は、医師や看護師数、病床数が少なく、医療提供体制はまだ十分とは言えない。台湾が直面している状況は、医療保険制度、年金制度の永続性に対する不安や、高齢者医療、介護に対する制度の不足など、10 ~15年前の日本と重ね合わせることができる。日本と同様に、治療中心の医療サービスから未病領域を含んだ健康管理サービスに重点を置くことにより、医療費の抑制を目指すことが重要であり、未病の存在や未病シフトの提案が望まれるところである」と語った。
最後にコメンテーターとして参加した台北駐日経済文化代表処参事官、科学技術部長の陳俊榮氏による講演があった。陳氏は台湾の台北医学大学卒業後、日本東北大学での留学経験を持ち、日台両国で医療経済に精通している。
陳氏からは台湾の高齢社会の現状報告があり、国民皆保険制度 (台湾 では全民健康保険制度という)が 1995年から実施され、全人口の 99 %をカバーしているとのこと。特に台湾の医療は「安い・速い・上手い」と言われ、しかも電子化が進んでおり、医療・介護産業へのニーズは高まっていて今後も成長が見込まれるという。
一方で特殊なメイド文化の外国人労働者による在宅介護サービス (民間)が介護保険制度(公的) の発展を妨げている現状を指摘。今後の課題として、①介護基礎教育の強化、②AIの活用、③台湾に合った介護システム、④健康格差の縮小、健康寿命の延伸一を挙げ、平均寿命と健康寿命が一致する社会が重要と話した。また、健康長寿の秘訣として①栄養 (6つの栄養群を選んでバランスの良い食事を摂る)、②保養(睡眠時間の確保と体内リズムを整え る)、③修養(知識を高め、品性を磨き、自己の人格形成に努める)ことが重要とした。
講演の後には会場の参加者から講演者へ活発な質問が寄せられ、改め て今日本が抱えている喫緊の課題である「介護」や「未病」への関心の高さを感じさせるミーティングであった。未病総研では、今回のミーティングで発表された問題提起や提案を各方面に発信していきたいと考えている。
取材:Premec RD編集部
生活習慣病に関わりが深いといわれている眼・歯にフォーカスした健診を行っているKRD Nihombashi(東京都中央区)。「病の早期発見・早期治療」だけでなく、未病段階で身体のリスクに気付くことで自分らしく健康でいられる生き方を見つけることを目指している。健診後 の医師からのアドバイスやヘルスケアプログラムを通して、ベストコ ンディションを維持できるように、今の生活スタイルで健康とうまくつき合える方法を提案している
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・眼。歯にフォーカスした検査を行う
・併設スタジオで健康のきっかけをつかむ
・ライフスタイルに合わせて 改善策を考える
眼科検査
歯科検査
医学専門書と健康情報誌
「病気は、突然病気になるのではなく、始めは軽い症状が出て健康とはいえないが病気でもない未病の状態になり、さらに症状がひどくなると病気になります」一。
院長の田中岳史氏は、健康と病気の間の状態を、体の傾きをはかる分度器に例える。健康で元気な時を体の傾きがなく、まっすぐに立っている状態だとすると、病気に向かっている時には体が小さく傾き、ついには体の傾きがパタリと倒れてしまう。KRD Nihombashiでは、健診 で体の小さな傾きを見つけることで、病気になる前に自分の体に向き合って、日々の生活や健康を意識しながら、体を傾きのない健康な状態に戻せるようにサポートしている。
検査項目は、通常の人間ドックの2倍以上といわれる70以上の項目を調べる。とりわけフォーカスするのは、眼と歯だ。眼の検査を行うのは、パソコンやスマートフォンを毎日見ていると、知らないうちに目に負担がかかっているからだ。健診では最先端の検査機器を使って、眼の断面図や網膜、眼のかたち、見えている範囲などの幅広い検査項目を調べることで、眼の病氨にかかる前から眼の状態を知り、日常生活に差し支える目の病気や失明を防ぐことを目指している。
歯科検診では、虫歯や唾液の検査のほかに歯周病の有無を調べる。歯周病は口の健康に留まらず、内臓の病気の原因になるなど全身の健康に深く関わっている。口腔内には体の健康が表れるといわれるように、口の健康を保つことで、全身の病気を防ぐことができる。また、口が健康でないと、誤嚥性肺炎や嚥下障害など日常生活が過ごしにくくなる原因 になるため、「特に高齢者にとって口の健康は、毎日を暮らしやすくするために欠かせません」(田中院長) という。
健診施設に併設されたスタジオでは、健康になるために必要な情報を習得できるヘルスケアプログラムを用意している。栄養知識や最新医療情報、メンタルヘルスなどを専門家がわかりやすくアドバイス。受診者は、運動教室やクッキングスクール などに参加して実際にやってみることで、健康的な生活習慣を送るための第一步を踏み出すことができる。大切なことは、まずはその場に参加することだという。参加して、専門家と時間を共有する中で健康に良い生活習慣が身近になり、普段の生活 に少しずつ取り入れられるようになる。
たとえば健診結果は専門用語が多く、受診者の中には理解して生かしきれないことも多いが、ここでは検查項目を理解するために必要な専門的な知識を学ぶプログラムもある。検査項目の基準値がわかり、数値が読めるようになれば、健診の結果を見て健康づくりにために何をすれば良いのかが理解でき、普段の生活の中で健診結果を生かせるようになる。
また、「病は気から」という言葉があるように、心と体の健康のバランスに注目したメンタルヘルスのプログラムを開催している。ヨガ教室で心のバランスを整えて体への負担を減らすことはもちろん、体の栄養状態は心の状態に影響するといわれているため、食事の栄養バランスを改善することで心の健康を整えることに取り組んでいる。多くの健康情報があふれる中で、専門家から話を聞き行動に移すことで、必要な情報を見きわめて取捨選択できるようになり、自分にあう健康法を見つけら れる第一步歩になると考えている。
每日が忙しく生活を変えにくい時でも、体の負担を少なくするヒントはある。そのため、KRD Nihombashiでは、ライフスタイルにあわせた対応方法をアドバイスしている。たとえば忙しくて睡眠時間が3~4時間の日が続いても、休日に寝だめするのではなく、休日の朝の起きる時間を少し遅くするほうが体に負担がかからないという。また、毎日の夕食が深夜になる生活では、食事の時間は変えられなくても、食べ方やメニューを工夫することで効率よく食べることができる。個人のライフスタイルのままで、できる方法を一緒に考えて対面でアドバイスしているため、ストレスを感じることなく、健康に良い生活習慣を取り入れることができるのだ。田中院長は、「生活や食事をする上での禁止事項をつくると長続きしません。自分ができる範囲で続けられる方法を見つけて行動に移すことが大切です」と話す。
KRD Nihombashiでは、健診の6か月後にフォローアップ検査を行っている。普段の生活で健康に気を付けていることが、良い結果に なって表れているかを見ることで、今後の取り組み方がわかるためだ。さらに、前回、2年前、3年前と時間の流れにそって健診結果を見ることで、いま向かっている方向が良いかどうかを見極め、このまま続けるのか、他の方法に変えたほうが良いかを判断する。
健診を受けた後も気になるところがあれば、医師に相談することができる。健診の結果、食事や運動のアドバイスなどのメッセージをインターネットからアクセスできるクラウドに保管しているので、一人ひとりがパソコンやスマートフォンから マイページにアクセスして、いつでも自分のデータを見ることができるのだ。このサービスの導入を強く主張したのは田中院長。健診を受けた後も健康に関心を持ち続けるためには、自分で検査結果や医師からのメッセージなどをいつでも確認でき るしくみが必要と考えたためだ。
医師への相談は、今は予約して対面で行う仕組みだが、今後はスマートフォンやパソコンを使ってオンラインで相談ができる体制をつくるという。田中院長は、「健診を受けた後も、一人ひとりに寄り添うことで、健康でいられる生活を実現できるようにサポートすることが、KRD Nihombashiならではの取り組みだと考えています」と話す。
取材:Premec RD編集部
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・2年前のセミナ一で 新興感染症を予見
・迫りくるパンデミックの脅威
・ワクチン開発で締結
・ペスト対策でとられた“都市封鎖”
2020年は、気候変動対策など国連のSDGs(持続可能な開発目標) の達成目標である2030年へ向けての重要な1年だと言われている。地球規模で起こる気候変動は、豪雨災害や森林火災、食糧不足などにつながる、世界共通の環境リスクだが、福生氏は「医療にも甚大な影響を及 ぼす」と警鐘を鳴らす。とりわけ、 二酸化炭素 (CO,) の排出増加に伴い、温暖化に拍車がかかる要因として注視するのは、中国が開発を進める一大経済圈構想「一帯一路」。福生氏は、2018年6月に開催された21世紀医療課題委員会(未病総研の分科会)で講演し、「近い将来、“一帯一路症候群”とも呼ぶべき疾病の流行が起こる可能性がある」と予見していたが、今回の新型肺炎はまさにその予見が的中した格好となった。
福生氏が新たな疾病リスクを“一帯一路症候群”と命名する背景には、経済のグローバル化によって20世紀に発生した病原性ウイルスの感染力をはるかに凌ぐ勢いで広まる新型感染症の出現が予想されるからだ。福生氏は、その震源地を 「一帯一路」を進める中国だと見ていた。世界人口の60%の経済に影響を与える21世紀のシルクロード の開発は、未曾有の規模のグローバル化をもたらすものだけに、それに伴って発生する疾病の規模も人々 の想像をはるかに超えるものとなる可能性があるという。
その要因には、一帶一路の推進による大規模インフラ開発、人の大移動、都市化が進むことでおこる CO,排出量の増加、温暖化が引き おこす異常気象などがある。このような地球環境の悪化の中で、各種感染症が流行し、大気汚染による呼吸器系疾患や生活習慣病のリスクが高まる可能性が上がるという構図だ。 しかし、現在、CO,排出量に関するデータは公開されていない。
このような福生氏の見解に共感する研究者は少なくない。2018年6月17日に都内で開催された21世紀医療課題委員会・公開フォーラムでは、「人間の移動と疾病、その攻防をテーマに、福生氏をはじめ感染症の専門家が感染症対策について持論を展開。成田空港の検疫の状況、急増する梅毒、東京オリンピックに向けた対策や、一帯一路について医療の立場から発表があり、熱い議論が展開された。この中で福生氏は、「“一帶一路症候群”は21世紀の医療として取り組むべき地球的規模の喫緊の課題であり、生じてしまってからでは取り返しがつかない。未病のうちに手を打つべき課題だ。今後さまざまな場面で研究され、議論されていくことを期待している」と呼びかけている。
新型肺炎で今後、最も懸念される のはパンデミック(感染爆発)だ。世界保健機構(WHO) は流行の規模に応じて、地域的なエンデミック、国内又は周辺国に広がるエピデミッ ク、そして世界各地に蔓延するパンデミックに分類し、6段階の警戒レベルを設けている。武漢発の新型肺炎が、米国、フランス、オーストラリアなどに飛び火していることを考えれば、パンデミックの脅威を拭い 去ることはできない。
経済成長と環境破壊、そして新興感染症のリスクは表裏一体の関係にある。米中貿易摩擦によって経済の下振れリスクが世界を覆っているが、新型肺炎はそれを上回る規模で世界経済に打撃を与える可能性もある。
厚労省は、同省が拠出を行っている感染症流行对策イノベーション連合 (CEPI、本部・ノルウェー)が 1月23日に、米国国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) などとのパートナーシップを締結したことを明らかにした。中国での感染者が相次いで報告されている新型コロナウイルスのワクチン開発を進め、候補 ワクチンを迅速に臨床試験に導入し たいという。
CEPIは、世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月に開催されたダボス会議で発足した官民連携パートナーシップ。日本、ノル ウェー、ドイツ、英国、オーストラ リア、カナダ、ベルギーに加え、ゲイツ財団、ウェルカムトラストが拠出している。平時には需要の少ない、エボラ出血熱のような世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチン開発を促進し、流行が生じる可能性が高い低中所得国におい てもアクセスが可能となる価格でのワクチン供給を目的としている。
今回は、NIAID や Inovio 社 (米国)、クイーンズランド大学(オ一 ストラリア)などと連携し、新型コロナウイルスに対するワクチン開発を目指す。
21世紀において交通機関のさらなる発展により、人類は生活の豊かさを謳歌し、経済効果を求めて安易なグローバル化を進めている。その結果、沖縄の麻疹、デング熱、梅毒、鳥インフルエンザ、火蟻など日本を襲う新興・再興感染症の脅威は後を絶たない。
中国政府が推進する「一対一路」計画は、世界の60%の人口の経済に影響を与える21世紀のシルクロード。しかし、一帯一路が及ぼす疫病との遭遇は現在未知のままだ。世界が安心、安全の生活と経済発展を遂げるためにも、一帯一路が及ぼす新興感染症の発症という新たな医療課題に備える準備が欠かせない。
福生氏は、「新規感染症対策は一刻一刻が勝負。手の打ち方を一步間違えると大きな代償としてはね返ってくる」と警鐘を鳴らす。今回の新型肺炎で刮目すべきことは“都市封鎖”が行われた点にある。福生氏によれば、これはl8世紀に広まったペスト対策としてイギリスでとられた方法であるという。
「村全体を閉鎖し、外部との交流を一切遮断する。当然住民は閉じ込 られ、その中で村人は死に絶えペ ストは終焉を迎えた。これが当時の最適の拡散防止策であったが、武漢の住民は1,100万人。すでに500万人は脱出したと報道されている が、残された方々の不自由さに胸が痛む。一帯一路は、中央アジア、パキスタンそしてEU、アフリカにも続く。今回の新型肺炎の広がりがこの道を通っていかないことを切に願う」(福生氏) 一。
取材:Premec RD編集部
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・善玉菌を増やすプロバイオティクス
・善玉菌の餌となるプレバイオティクス
・乳業大手が相次ぎ“次世代商品”発売
・メタボロ一ム解析で数千種類の代謝産物を特定
「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」という言葉はすでに一般的にも使われるようになってきた。腸内細菌は、腸管内で一定の平衡状態を保ちつつ互いに共存しており、通常は無害である。健康に良いと言われる善玉菌が約20%、健康に有害な悪玉菌が約10%、残り70 %はほとんど何も影響を与えない「日和見菌」とされており、これらの細菌たちが腸内細菌叢というコ ロニーを形成している。
ところが、何かの原因で腸内細菌叢のバランスが崩れて悪玉菌が増えると、有害物質や有毒ガスを作り出し、それが体内に吸収され、便秘や下痢、時には重篤な疾患を引き起こす。それが長期にわたると免疫力が低下し、病原菌へ感染リスクが高まり、発がん物質の産生を促進させるといった事態が起こる。しかも、一旦減少した善玉菌を腸管内で再度増加させることはなかなか難しく、時間がかかる。
プロバイオティクスとは、生物間の共生関係(probiosis)を意味し、抗生物質 (antibiotics) に対比する言葉でもある。「腸管内の善玉菌を増やして、腸内細菌のバランスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されており、Lactobacillus属に代表される「乳酸菌」や Bifidobacterium属である「ビフィズス菌」、Bacillus属の「納豆菌」など、菌そのものを総称する言葉として使われるとともに、これらの善玉菌を積極的に外部から腸管内に送り込む動的な意味合いでも使われる。
善玉菌の代表格である乳酸菌は見つかっているものだけで400種類以上あり、その機能が特定されているものでも50菌株に及ぶ。もう一つの善玉菌の代表であるビフィズス菌は40種類ほどが見つかっており、人の腸内に住むビフィズス菌は6~ 7種程度。ちなみに、人の腸内では圧倒的にビフィズス菌の機能の方が大きいと言われている。
一方、プレバイオティクスとは 1994年にイギリスのGibsonとRoberfroid によって提唱された概念で、「大腸に常在する有用菌を増殖させるか、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」 と定義されている。いわゆるオリゴ糖類や難消化性デンプン、食物繊維など、腸内の善玉菌の餌になるものがこれにあたる。プロバイオティクスと同じようにこれらの成分を外部から積極的に腸管に送り込むこともプレバイオティクスと呼ばれる。
つまり、プロバイオティクスが菌 そのものの作用によって腸内環境を改善するのに対し、プレバイオティ クスは善玉菌の餌となる食品成分を摄取することによって腸内環境を改善する。ここで言う「有益な効果」 とは、一般的には下痢や便秘などの大腸症状の緩和であることが多い が、一方で、感染防御や免疫調整、 血圧や血糖の調整、ミネラル類の吸収促進、ストレスの緩和など、広範囲な効果も範疇となる。
そして、ここにきて新しく「シン バイオティクス (synbiotics)」という言葉が使われだした。簡単に言えばプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたもので、双方の機能がより効果的に宿主の健康に有利に働くことを目指すというものだ。
医療の臨末現場においては、シンバイオティクス療法として病態者や術後における感染防御、炎症抑制などにおいてすでに効果を示していた。しかしこれらはあくまでも医師の管理下で行われるもので、今まで、このシンバイオティクスという概念を一般市場に落とし込むといった考えがあまりなかった。
ヤクルト本社は、既に2017年か ら「シンバイオティクス ヤクルトW』を発売していたが、昨年10月からハードタイプヨーグルト「シンバイオティクス ヨーグルトW』を新発売した。「生きて腸内に到達する乳酸菌シロタ株と、腸内の乳酸菌を増やすガラクトオリゴ糖を一緒に摂ることができる」と言うのがその宣伝文句だ。そして、商品正面には「シンバイオティクス」の大きな文字が躍る。
一方、森永乳業も昨年9月に、「ビフィズス菌BB536』を配合した「ビヒダスヨーグルト」シリーズから、 『ビヒダスシンバイオティクス プロテイン ヨーグルトドリンクタイプ』、 「ビヒダス シンバイオティクス プロテイン ヨーグルト』を発売した。ビフィズス菌BB536に加えて、おなかの中でビフィズス菌を元気にする「食物繊維イヌリン」、さらには、体に必要な栄養素である「たんぱく質」を配合、ビフィズス菌研究50周年の森永乳業だからこそ提案できる3つの健康素材の組み合わせを、これひとつでまとめて摂取することができる。
大手乳業メーカーの動きは、本格的なシンバイオティクス市場の形成を予感させるものだが、少し前までの腸内細菌研究は、検体から一つひとつの菌を分離培養して調べるしか方法はなく、多くの時間と手間がかかる割にはその研究はなかなか進まなかった。
しかし、21世紀に入ってオミッ クス解析という手法が可能になった。次世代シーケンサーという機器の登場によって、検体から菌を分離培養しないで、検体丸ごとからDNAを抽出して菌種を同定することが可能になり、それまでほとんどが培養不可能であった腸内細菌の全菌種(細菌叢) が明らかになった。これによって食品としての機能性研究だけでなく、医療の診断・治療・検査部門までにも革新的な変化をもたらした。
中でも、「メタボローム解析」という手法は、腸内細菌の研究に長足の進歩を与えた。この解析によって腸内細菌がプレバイオティクスを餌として作り出す脂肪酸などの数千種類におよぶ代謝産物の総体を網羅的に解析することが可能となり、それらの代謝産物の機能性も次々と明らかになってきた。
乳酸菌生産物質を製造する光英科学研究所は、この技術を活用して原液を解析。乳酸菌生産物質に含まれる物質の機能性を明確にすることにより、人の体にどのように役立つ物質が存在しているのかをDNAレベルで証明するため、国産無農薬大豆から作成した豆乳を培養基として発酵させた複合乳酸菌生産物質についてメタボローム解析を実施。その結果、34のペプチドを含む水溶性235種、脂溶性117種の計353種の代謝産物を検出している。
メタゲノム技術を駆使すれば、まとめて500種の解明が可能になり、代謝物質の特定も可能となる。近年の研究からは、代謝産物の1つである酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が多くの有益な機能を持っていることが徐々に明らかになってきている。これらの研究は細菌自体の遺伝子情報を網羅的に解析することができる「マイクロバイ オーム解析」等と組み合わせる形で、今後さらなる新機能が次々と発見されることは間違いない。
取材:Premec RD編集部
9月に入り、夏の疲れがでてくるころ。これから朝晩は涼しくなりますが、日中の気温が高い時には1日の気温差も大きくなり、疲労感を感じて、体調を崩しがちになることも。食欲の秋、読書の秋、スポーツ・芸術の秋を存分に満喫するためにも、健康には十分にご留意くださいね。(編)
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