
Premec RDは、登録販売者の皆様が薬局・ドラッグストア店頭の販売やカウンセリング、地域住民様とのコミュニケーションづくりにご活用いただける様々な情報を配信しています。今月の内容抜粋:日本人のメンタリティが医療費増大を招いている(上)未病を診る検査、その他
川嶋 朗・神奈川歯科大学大学院統合医療学講座 特任教授
一般社団法人日本未病学会理事長 吉田 博
豊かな自然環境を活かして、ストレスケアの場を提供
管理栄養士、NR・サプリメントアドバイザー 伊藤 真由美
Premec RD編集部
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人工知能(AI)のデータで面白い実態が浮かび上がっています。20年近く前に北海道夕張市が財政破綻しました。これにより夕張市立総合病院が閉院を余儀なくされるなど医療崩壊が始まり、病床数は10分の1までに減りました。しかし、夕張市民の死亡総数と死亡率は、病院閉鎖の前後でほとんど変化がありません。逆に夕張市民の健康寿命は延びているのです。何故なら、体調が悪くなっても簡単に病院に行けないので、市民の間に健康意識が高まってきたからです。一般に高齢者は、いくつもの病院や診療所を受診する傾向があり、服用するクスリの種類や量も増えます。多剤服用の中で害をなすものをポリファーマシーと呼んでいますが、医療機関にかかりにくくなったことで、結果的に薬物有害事象(副作用)が減ったことも、健康寿命の延伸につながったのではないでしょうか。受診機会が減ったことは、医療費の削減にもつながっています。つまり、「病院をなくすことが患者の健康寿命を延ばす」。これが、AIが導き出した結論なのです。
サイレントキラーと呼ばれる生活習慣病などは、自覚症状がないためか、なかなか生活習慣を見直そうという意識が生まれません。これが命に関わる病気となると事情は変わってきます。がんになると「どんな運動をしたら良いのか」「どんな食事をとれば良いのか」と真剣に考え始めます。がんになると頑張り出すのは死に直面して危機感が芽生えるからですが、これと同じで、病院がなくなれば医者に頼れなくなるという危機感が生まれてきます。
そこまでいかなくても普段から「予防しよう」、「健康づくりを行おう」という意識に変われば、国民の財産である医療財源を守ることができます。今の日本は、社会保障費と税収がほぼ拮抗しており、医療費や介護費の増加が国を滅ぼしかねない状況と言えます。
私は、増え続ける社会保障費を赤字国債で賄い、後の世代にツケが先送りされ続ける状況について、「孫名義のクレジットカードを祖父母が使いまくっているようなもの」と表現して注意を促しています。平成初期は250兆円程だった赤字国債は、今や1,100兆円を超えるまでになっていますから、このままだと日本全体が夕張市のような状況に陥ってしまうでしょう。
医療機関を利用する皆様に知ってほしいことがあります。それは、風邪をひいたと言って病院に来られる方がいますが、実は症状を抑えるクスリはあっても、風邪そのものを治すクスリは存在せず、エビデンス(根拠)もないということです。ですから、本来なら風邪に医療保険を使うべきではないのです。現実は、なかなかそうはいきませんが、理論上はそういうことになります。
風邪をひくと鼻水、発熱などの症状が出ますが、人間の身体はウイルスに対する抗体をつくることで、炎症をおさめて治そうとします。これを抗病反応と呼んでいます。ですから熱が高くなるのは血流を良くして免疫力を高める生体防御反応なのです。解熱剤などで熱を抑えるのは、一時的に症状を和らげるのであって、ウイルスそのものを排除するのではありません。
免疫反応は体温が少し高い方が活性化されるため、ある程度耐えられる熱であれば解熱剤は控えた方が治りは早いのです。日本呼吸器学会のホームページには、「ウイルス性のかぜ症候群であれば、安静にして、水分と栄養補給により自然に治癒するため、ウイルスに効果のない抗菌薬は不要」と記載されています。病院で風邪薬が処方されるのは、つらい症状を和らげることで体力の消耗を抑え、身体が風邪を退治する手助けをすることですから、風邪そのものを治すというエビデンスは存在しないのです。したがって、エビデンスの存在しない風邪の治療に公的医療保険を適用するのは、おかしな話なのです。
風邪などで大病院を受診する背景には、依存心が強い日本人のメンタリティも深く関わっていると考えられます。ある経済学者は、「医者任せで、悪くなったら病院に行こうという感覚が、医療費を押し上げる根本的な要因だ」と指摘しています。運動が良いことはわかっていてもやらない。体調が悪くなって医者にいくとクスリが出る。それで何とかなると思い込んでいる人が少なくありません。ちょっと厳しい言い方ですが、日本人の健康観、病気に対するスタンスというものが、結果的に今の医療費の増大を招いていると言ってよいでしょう。
日本の医療保険制度は世界的にみても素晴らしいシステムであることは間違いありませんが、受診者の自己負担が3割ということは、残りの7割は他人のお金に頼っていることになります。ですから病院にかかる前に「7割も負担してもらって良いのだろうか」という思いを抱いてほしいのです。
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座 特任教授
北海道大学医学部卒業。東京女子医科大学大学院医学研究科修了。Harvard Medical School&Massachusetts General Hospital留学。東京女子医科大学腎臓病総合医療センター内科&血液浄化療法科准教授、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、東京有明医療大学保健医療学部教授を経て現職。
日本内科学会認定総合内科専門医、日本腎臓学会学術評議員・認定指導医、日本透析医学会認定専門医、日本ホメオパシー医学会理事・認定専門医、日本東方医学会理事・学術委員、日本予防医学会理事、日本抗加齢医学会評議員、日本医工学治療学会評議員、国際生命情報科学会理事、NPO統合医療塾塾頭。
取材:Premec RD編集部
一般社団法人 日本未病学会は、四半世紀以上にわたり「未病」の考え方を念頭に病気と健康の間を科学的に研究し、国民の健康寿命延伸に寄与すべく活動を続けてきました。健康と病気を二分法で括る西洋医学の考え方とは異なり、健康と病気の間を連続段階的に変化する状態を「未病」と呼んでいますが、その意味を理解している人はまだ少ないのが現状です。そこで、同学会の吉田博理事長(東京慈恵会医科大学教授、附属柏病院院長)に、未病の概念と、未病状態を把握する検査法について解説してもらいました。
「未病」という言葉は、およそ2000年前の前漢から後漢の時代に、中国最古の医学書とされる「黄帝内経」にはじめて登場する言葉です。ここには「聖人は既病を治すのではなく、未病を治す」と記されています。病気(病原体)は体内にありますが、症状が出ていない状態。しかし、その段階で治療しなければ早晩発症してしまう。ですから、黄帝内経には、「未病の時期を捉えて治すことができる人が医療者として最高の人(聖人)である」としているのです。
別の医学書「千金要方」には、上医は未だ病まざるものの病を治す、中医は病まんとするものの病を治す、下医は既に病みたる病を治す」とあります。つまり、最も優れた医者は、病気を発症する前の状態(未病)を治すから上医だと言っているのです。「養生訓」で有名な貝原益軒も、未病とは半健康で、病気に進行しつつある状態であるという意味の言葉を残しています。本学会では、貝原益軒の誕生日である12月17日を「未病の日」と制定することにしました。
この未病の考え方を現代に当てはめてみると、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの代表的な生活習慣病における危険因子が、日本人の全死因の3割を占める心血管病(心臓病・脳卒中など)に強く関連し、さらには死因第1位の悪性腫瘍(がん)にも部分的につながるわけですから、生活習慣病はまさしく「未病」そのものと言えるでしょう。
ただし、わが国の保険医療制度では、病気の診断は基準範囲や臨床判断値(病態識別値)を用いて病気かどうかを判定します。レッドラインを超えると確定診断がついて生活療法を含む治療が開始されますが、一線の手前であれば疾病予備群、つまり未病者となります。簡単に言えば、病気ではないが健康でもない状態、病気の一歩手前の段階だと言えます。
さらに未病の概念は大きく分けて2つに分類されます。一つは、「自覚症状はないが、検査で異常所見が見られる状態」、これを西洋医学的未病と言います。もう一つは、「自覚症状はあるが、検査で異常がない状態」、これを東洋医学的未病と呼んでいます。そして、健康と病気の間のどの状態にあるかを判別する未病期については、セルフメディケーションや保健指導で改善できる状態の「未病1期(自立支援)」と、受診勧奨が必要な状態である「未病2期(治療支援)」の2段階に分けられます。
ただし、現状ではこれらの未病状態を調べる検査方法は確立されていません。西洋医学的未病については、先程ご紹介した臨床判断値の問題があります。それには、まず「基準範囲」と「臨床判断値」の違いを理解しておく必要があります。
基準範囲とは、健康な人が100人いたら、極端に高い数値の2.5%と、極端に低い数値の2.5%を除き、平均値を挟んだ残り95人が含まれる範囲を基準範囲とします。基準の母集団が健常者の検査結果であるため、基準範囲は検査値を判断する一つの物差しとなりますが、病気の診断やリスク評価のためには用いられません。
これに対し、臨床判断値は、特定の疾患の判断基準であり、また、疫学データから将来の発症が予測され、予防医学的見地から医学的アプローチが必要な領域と言えます。臨床判断値でみた場合、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の検査値が高く超えていると、動脈硬化性疾患のリスクがあり、症状がなくても将来的に心血管病が起こり得ることが予想できます。
ここで問題になるのは、臨床判断値がある検査値は良いのですが、これがない検査値、単に基準範囲だけしかない検査値をどう捉えるか、という点です。例えば、脂質異常では「中性脂肪は150㎎/dL」「HDLコレステロールは40㎎/ dL」などと臨床判断値が設定されていますが、その他の多くの検査項目は、臨床判断値がありません。さらには基準範囲を超えている場合では、何らかの病気があることが推測されますが、何ら症状もない場合はどう対応するのか、という問題があります。
また、高齢者の検査値の基準範囲となると、もっとやっかいです。今は原則的に65歳未満を想定して設定されていますが、高齢者のなかには、75歳でも元気な人もいれば、65歳で老化が進んでいる人もいますので、一括りに高齢者と捉えることに無理があります。
基準範囲を算出するには、一定数の基準個体を選ぶ必要がありますが、高齢者の場合、選定条件を厳しくして元気な人だけに限ると、該当者が少なくなってしまい、十分な数の基準個体が得られなくなります。かと言って選定条件を緩くすると、老化で身体機能が著しく低下した人や潜在的な疾患を持つ人が含まれてしまい、基準範囲が広くなってしまいます。
このように高齢者の検査値については、異常かどうかを判断する尺度を設定することが難しいのです。加えて個人の“揺らぎ”の問題もあります。朝と夜とでは血圧値が変わりますし、日によってもバイタルデータは変化する。つまり、「時間の経過とともに変動する値をどう評価するのか」、それを判断するための指標も必要になるのです。
昭和62年、防衛医科大学卒業。平成8~10年、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部留学。平成15年、東京慈恵会医科大学内科学講座講師。平成19年、同大学臨床検査医学講座准教授。平成22年、同大学付属柏病院副院長。平成25年、同大学臨床検査医学講座教授。代謝栄養内科学教授兼任。
専門医:日本内科学会(認定医、総合内科専門医、指導医)、日本循環器学会(循環器専門医)、日本動脈硬化学会(動脈硬化専門医)、日本臨床検査医学会(臨床検査専門医・管理医)、日本老年医学会(老年病専門医・指導医)、日本臨床栄養学会(認定栄養指導医)、日本未病学会(未病医学認定医)、日本臨床薬理学会(特別指導医)
取材:Premec RD編集部
静寂さの中で体感する「富士山の時空と神話にあやかる場」―。
富士山観光の景勝地で、避暑地として知られる朝霧高原に、統合医療を行う朝霧高原診療所(静岡県富士宮市、山本竜隆院長)がある。山本院長は、診療所を拠点に地域医療に携わる一方、2013年4月には、自然・環境・癒し・食などをテーマに、仲間が集う場として、滞在型ウェルネスリゾート施設「日月(ひつき)倶楽部」を開設した。富士山の西麓に広がる雄大な裾野に位置する標高700mの中山保養地として、全国から利用客が訪れている。
富士山頂上から駿河湾までの稜線を眺望する朝霧高原は、丘陵地帯に自然林が広がる地域で、気候療法の適応がある環境としても知られている。富士山麓の希少なロケーションにある日月倶楽部は、自然療法を行う場として、山本医師が手作りで開設した。
約2万坪の敷地内には6室のメゾネットタイプの宿泊施設があり、窓からは雄大な富士山を臨むことができる。また、エアストリームを堪能できるコテージ付きの部屋も用意してある。テーラーメイドの食膳薬膳茶、山本院長監修の各種ヘルスプログラム(表)で、心身のリフレッシュ、自然体感、自然欠乏対策に利用してもらう日本初の滞在・体感型施設となっている。
施設は、築200年の貴重な建築資産である古民家を移転・増改築したもので、随所にアンティーク家具や建具を配し、自然との調和を大切にしている。周囲をとりまく富士山麓の自然環境と共に、利用者の健康意識向上や伝統的な食育や環境教育を行なう場でもあるのだ。
食事はレストランでの食事ではなく、栄養学としての食でもない。「自然の命をいただく実感や、いただけることに感謝の念をいだくことが本来の食育である」(山本院長)との考えから、敷地内に自生する野草や野菜を提供している。宿泊客の要望に応じて、タイミングが合えば、シカ肉やイノシシ肉を使ったジビエ料理を出すこともある。
東洋医学的自立神経検査(良導絡検査)
自律神経のバランスから心と身体の状態を調べる検査。皮膚に未弱な電流を通し、交感神経の興奮性から自律神経のバランスを見ることが可能。
良導絡トリートメント
良導絡検査の結果をもとにアロマオリジナルブレンドを作成。経路を刺激して五臓六腑のバランスを整える、オリジナルのアロマトリートメント。(17歳以上の女性限定)
フィールド吹き矢
約2万坪の敷地を生かしたフィールド吹き矢の施設。森林や草原の中で森林浴をしながら、標高700mの中山保養地で、新鮮な空気の中、呼吸法としてのフィールド吹き矢を楽しむことができる。
アロマワックスバー
火を灯さないアロマキャンドル。キャンドルと同じくロウを主としてドライフラワーなどで装飾した見た目もキュートなフレグランスを味わうことができる。
日月倶楽部では、自然療法の考え方を基にヘルスプログラムが用意されているが、過ごし方は利用者の自由。森林のなかで地べたに座ってヨガをやったり、御来光を臨みながらヨガを行うなど、自然の中で好きなように時間を過ごすことができる。マインドフルネスの原点は自分自身を見つめ直す場所と空間なので、ここはそれを提供する場所と言える。
山本院長は、「そのサポートとして良導絡検査などをやったりしていますが、本来の目的はきっかけづくりと場の提供です。ですから、ここにいる間だけでも仕事や日常のことを忘れ、自然に溶け込む時間をゆっくり味わっていただければと思います」と話す。
せっかく自然あふれる場所に来てもホテルがいっぱいあり、観光客がたくさんいては瞑想などに集中することはできない。ここは2万坪の中で限定6組に利用してもらうなど、自然の環境と空間を独り占めできる良さがある。
日月倶楽部では、宿泊客に自然の摂理、リズムに従い生活をすることを呼び掛けている。天候や日の出の時間などによっても異なるが、朝6時半頃から富士山の湧水の“お水取り”を行い、富士山の湧き水で口をゆすぎ、湧き水でお茶などを飲むなどしてから森林散策や、呼吸法などを行なって朝食をとる。朝食後から夕食までは、吹矢フィールドや富士山の取れたて野草アロマセラピー、富士山野草と自然水によるスチームサウナ、その他の自然セラピーなどで過ごすことができる。期間限定で、山本院長監修の「自然欠乏症候群 改善プログラム」もある。
利用方法と予約は、下記ホームページから。
日月倶楽部
〒418-0108静岡県富士宮市猪之頭2271
TEL:0544-52-2611
URL:http://www.hitsuki-club.com
E-mail:info@hitsuki-club.com
私は現在、標高700mに広がる朝霧高原の山中で暮らし、近くに開設した朝霧高原診療所の院長として地域医療に携わっています。自宅には水道やガスはなく、薪ストーブで身体を温め、湧き水、井戸水で生活し、地場でとれた野菜で食事をしています。朝は日の出とともに目覚め、日が落ちる頃には仕事をやめ、夜10時には就寝する。そんな自然と一体化した毎日を送っています。
こうした自然と調和した過ごし方を皆様に味わって頂きたいとの思いから開設したのが、「日月倶楽部」です。自然環境に抱かれる施設を目指し、極力手を加えないで自然の姿を活かしてつくりました。自然林や湧き水に恵まれた“自然とのつながりを戻す場”となっていますので、心身のリフレッシュに、ぜひ一度体験してみてください。
取材:Premec RD編集部
私は千葉県内の医療機関で栄養相談を行っていますが、外来ではサプリメントの摂取方法についてアドバイスを求めてくる方が少なくありません。食事とサプリメントの違いは、食事は視覚や匂いで食欲をそそられ食感が蘇るなど、五感を刺激しますが、サプリメントは例えカラフルな色でも匂い、味はありません。食事で不足しがちな栄養素を補給するのがサプリメントの役割です。
一方、栄養と栄養素の違いを理解していない方が多いのが現状です。栄養素はビタミンAやCaなど食品中の有効な成分のことで、栄養は栄養素が消化・吸収されて身体の様々な成分に作り変えられる一連のプロセスのことです。摂ってもそれがどれだけ栄養になるかどうかは、その人の年齢や体調によって変わってきます。
また、特定の栄養素だけが不足するわけではないので、この点をしっかり説明しないとフードファディズムではありませんが、サプリメントだけで簡単に栄養素が摂れると誤解してしまいます。
糖尿病の60代女性の例です。栄養指導の後の検査ではHbA1cが下がりますが、しばらくすると上がってしまいます。理由は夕食後のお菓子がやめられないことでした。見かねたご主人がトクホのサラシアのサプリメントを買ってきたのをきっかけにお菓子を止めたら、HbA1cは見事に改善しました。「サプリが効いたのでしょうか」と聞かれたので、「夕食後のお菓子を止めたことが大きかったのでは」と伝えました。
トクホの許可要件の一つに、「食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与することが期待できるもの」とあるように、この方もサプリメントを摂るようになったことが、食生活を見直すきっかけになったのかも知れません。
帰り際にこんな質問をしてきました。「糖尿病には酢玉ねぎが良いと聞いたので、食前に食べています。大丈夫でしょうか?」―。
玉ねぎ自体は問題ないのですが、この方は調味酢を使っていました。その調味酢の栄養成分表示を調べたところ原材料の最初に「果糖ぶどう糖液糖」があり、大さじ一杯で炭水化物が4.5gもありました。普通のお酢では、1g程です。調味料の糖分は見逃しやすいので注意が必要です。
サプリメントを摂ることは否定しませんが、利用する前に血糖値を上げてしまう食品を摂っていないかを聞き出し、原因となる食材を減らすことが先決です。
閉経後の女性に人気があるサプリメントにCa製品があります。骨粗鬆症の疑いのある70代の女性は、ヨーグルト1カップで1日に必要なCa量の約半分(350㎎)と、Caの吸収を高めるビタミンDが1日分(5.0㎍)摂れるというA社の栄養機能食品を、毎日2カップ食べていました。2カップのエネルギー量は110kcalで、脂質は2.4gです。
ある時いつも買っていたスーパーからこの商品が無くなったのでB社のヨーグルト(トクホ)に切り替えました。こちらは100g当りのCa量が109㎎なので、1日のCa量を補うために600g程食べていました。しかし、エネルギー量は600gで372 kcalになり、脂質も18gに跳ね上がりました。すると1年で体重が2㎏増加、悪玉コレステロールのLDL-Cも182㎎/dLに上昇しました。別の店で、元のA社の商品を買うように勧めたところ、1か月後の再検査でLDL-Cは142㎎/dLに下がり体重も約1kg減りました。この例から分かるように健康食品、サプリメントは栄養成分全体のバランスを考えなくてはなりません。
サプリメントの相談では戸惑うことも多々あります。多くの患者さんが、「(主治医の)先生から詳しいことは栄養士さんに聞いてくださいといわれた」といって来られますが、正直言って困ります。商品ラベルに「妊婦、授乳中の方は事前に医師や専門家にご相談ください」と表示されていることもあり、直接NR・SAである私に相談に来る方も少なくありません。
上手く答えられないと本来の栄養指導の内容についても信頼を失うようで、プレッシャーを感じることもありますが、相談者の質問に上手く答えられない時こそレベルアップのチャンスだと考えるようにしています。
血糖値が高い人には、トクホを飲む前に、なぜ血糖値が上がるのかを説明し、食事の中から上がる原因をみつけ、調理の工夫や上がりにくい食材、食べ方をお伝えする。これこそが食に精通した管理栄養士、栄養士の最大の武器だと思っています。
健康食品による健康被害を未然に防げる
健康食品と医薬品との相互作用を防げる
健康食品による経済被害も防げる
健康食品を通じて、食事や運動などの生活指導もできる
健康食品相談を通じて、不安を解消させられる
千葉県糖尿病療養指導士、健康運動指導士、他
取材:Premec RD編集部
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・2年前のセミナ一で 新興感染症を予見
・迫りくるパンデミックの脅威
・ワクチン開発で締結
・ペスト対策でとられた“都市封鎖”
2020年は、気候変動対策など国連のSDGs(持続可能な開発目標) の達成目標である2030年へ向けての重要な1年だと言われている。地球規模で起こる気候変動は、豪雨災害や森林火災、食糧不足などにつながる、世界共通の環境リスクだが、福生氏は「医療にも甚大な影響を及 ぼす」と警鐘を鳴らす。とりわけ、 二酸化炭素 (CO,) の排出増加に伴い、温暖化に拍車がかかる要因として注視するのは、中国が開発を進める一大経済圈構想「一帯一路」。福生氏は、2018年6月に開催された21世紀医療課題委員会(未病総研の分科会)で講演し、「近い将来、“一帯一路症候群”とも呼ぶべき疾病の流行が起こる可能性がある」と予見していたが、今回の新型肺炎はまさにその予見が的中した格好となった。
福生氏が新たな疾病リスクを“一帯一路症候群”と命名する背景には、経済のグローバル化によって20世紀に発生した病原性ウイルスの感染力をはるかに凌ぐ勢いで広まる新型感染症の出現が予想されるからだ。福生氏は、その震源地を 「一帯一路」を進める中国だと見ていた。世界人口の60%の経済に影響を与える21世紀のシルクロード の開発は、未曾有の規模のグローバル化をもたらすものだけに、それに伴って発生する疾病の規模も人々 の想像をはるかに超えるものとなる可能性があるという。
その要因には、一帶一路の推進による大規模インフラ開発、人の大移動、都市化が進むことでおこる CO,排出量の増加、温暖化が引き おこす異常気象などがある。このような地球環境の悪化の中で、各種感染症が流行し、大気汚染による呼吸器系疾患や生活習慣病のリスクが高まる可能性が上がるという構図だ。 しかし、現在、CO,排出量に関するデータは公開されていない。
このような福生氏の見解に共感する研究者は少なくない。2018年6月17日に都内で開催された21世紀医療課題委員会・公開フォーラムでは、「人間の移動と疾病、その攻防をテーマに、福生氏をはじめ感染症の専門家が感染症対策について持論を展開。成田空港の検疫の状況、急増する梅毒、東京オリンピックに向けた対策や、一帯一路について医療の立場から発表があり、熱い議論が展開された。この中で福生氏は、「“一帶一路症候群”は21世紀の医療として取り組むべき地球的規模の喫緊の課題であり、生じてしまってからでは取り返しがつかない。未病のうちに手を打つべき課題だ。今後さまざまな場面で研究され、議論されていくことを期待している」と呼びかけている。
新型肺炎で今後、最も懸念される のはパンデミック(感染爆発)だ。世界保健機構(WHO) は流行の規模に応じて、地域的なエンデミック、国内又は周辺国に広がるエピデミッ ク、そして世界各地に蔓延するパンデミックに分類し、6段階の警戒レベルを設けている。武漢発の新型肺炎が、米国、フランス、オーストラリアなどに飛び火していることを考えれば、パンデミックの脅威を拭い 去ることはできない。
経済成長と環境破壊、そして新興感染症のリスクは表裏一体の関係にある。米中貿易摩擦によって経済の下振れリスクが世界を覆っているが、新型肺炎はそれを上回る規模で世界経済に打撃を与える可能性もある。
厚労省は、同省が拠出を行っている感染症流行对策イノベーション連合 (CEPI、本部・ノルウェー)が 1月23日に、米国国立アレルギー感染症研究所 (NIAID) などとのパートナーシップを締結したことを明らかにした。中国での感染者が相次いで報告されている新型コロナウイルスのワクチン開発を進め、候補 ワクチンを迅速に臨床試験に導入し たいという。
CEPIは、世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月に開催されたダボス会議で発足した官民連携パートナーシップ。日本、ノル ウェー、ドイツ、英国、オーストラ リア、カナダ、ベルギーに加え、ゲイツ財団、ウェルカムトラストが拠出している。平時には需要の少ない、エボラ出血熱のような世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチン開発を促進し、流行が生じる可能性が高い低中所得国におい てもアクセスが可能となる価格でのワクチン供給を目的としている。
今回は、NIAID や Inovio 社 (米国)、クイーンズランド大学(オ一 ストラリア)などと連携し、新型コロナウイルスに対するワクチン開発を目指す。
21世紀において交通機関のさらなる発展により、人類は生活の豊かさを謳歌し、経済効果を求めて安易なグローバル化を進めている。その結果、沖縄の麻疹、デング熱、梅毒、鳥インフルエンザ、火蟻など日本を襲う新興・再興感染症の脅威は後を絶たない。
中国政府が推進する「一対一路」計画は、世界の60%の人口の経済に影響を与える21世紀のシルクロード。しかし、一帯一路が及ぼす疫病との遭遇は現在未知のままだ。世界が安心、安全の生活と経済発展を遂げるためにも、一帯一路が及ぼす新興感染症の発症という新たな医療課題に備える準備が欠かせない。
福生氏は、「新規感染症対策は一刻一刻が勝負。手の打ち方を一步間違えると大きな代償としてはね返ってくる」と警鐘を鳴らす。今回の新型肺炎で刮目すべきことは“都市封鎖”が行われた点にある。福生氏によれば、これはl8世紀に広まったペスト対策としてイギリスでとられた方法であるという。
「村全体を閉鎖し、外部との交流を一切遮断する。当然住民は閉じ込 られ、その中で村人は死に絶えペ ストは終焉を迎えた。これが当時の最適の拡散防止策であったが、武漢の住民は1,100万人。すでに500万人は脱出したと報道されている が、残された方々の不自由さに胸が痛む。一帯一路は、中央アジア、パキスタンそしてEU、アフリカにも続く。今回の新型肺炎の広がりがこの道を通っていかないことを切に願う」(福生氏) 一。
取材:Premec RD編集部
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・善玉菌を増やすプロバイオティクス
・善玉菌の餌となるプレバイオティクス
・乳業大手が相次ぎ“次世代商品”発売
・メタボロ一ム解析で数千種類の代謝産物を特定
「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」という言葉はすでに一般的にも使われるようになってきた。腸内細菌は、腸管内で一定の平衡状態を保ちつつ互いに共存しており、通常は無害である。健康に良いと言われる善玉菌が約20%、健康に有害な悪玉菌が約10%、残り70 %はほとんど何も影響を与えない「日和見菌」とされており、これらの細菌たちが腸内細菌叢というコ ロニーを形成している。
ところが、何かの原因で腸内細菌叢のバランスが崩れて悪玉菌が増えると、有害物質や有毒ガスを作り出し、それが体内に吸収され、便秘や下痢、時には重篤な疾患を引き起こす。それが長期にわたると免疫力が低下し、病原菌へ感染リスクが高まり、発がん物質の産生を促進させるといった事態が起こる。しかも、一旦減少した善玉菌を腸管内で再度増加させることはなかなか難しく、時間がかかる。
プロバイオティクスとは、生物間の共生関係(probiosis)を意味し、抗生物質 (antibiotics) に対比する言葉でもある。「腸管内の善玉菌を増やして、腸内細菌のバランスを改善することにより、宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されており、Lactobacillus属に代表される「乳酸菌」や Bifidobacterium属である「ビフィズス菌」、Bacillus属の「納豆菌」など、菌そのものを総称する言葉として使われるとともに、これらの善玉菌を積極的に外部から腸管内に送り込む動的な意味合いでも使われる。
善玉菌の代表格である乳酸菌は見つかっているものだけで400種類以上あり、その機能が特定されているものでも50菌株に及ぶ。もう一つの善玉菌の代表であるビフィズス菌は40種類ほどが見つかっており、人の腸内に住むビフィズス菌は6~ 7種程度。ちなみに、人の腸内では圧倒的にビフィズス菌の機能の方が大きいと言われている。
一方、プレバイオティクスとは 1994年にイギリスのGibsonとRoberfroid によって提唱された概念で、「大腸に常在する有用菌を増殖させるか、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」 と定義されている。いわゆるオリゴ糖類や難消化性デンプン、食物繊維など、腸内の善玉菌の餌になるものがこれにあたる。プロバイオティクスと同じようにこれらの成分を外部から積極的に腸管に送り込むこともプレバイオティクスと呼ばれる。
つまり、プロバイオティクスが菌 そのものの作用によって腸内環境を改善するのに対し、プレバイオティ クスは善玉菌の餌となる食品成分を摄取することによって腸内環境を改善する。ここで言う「有益な効果」 とは、一般的には下痢や便秘などの大腸症状の緩和であることが多い が、一方で、感染防御や免疫調整、 血圧や血糖の調整、ミネラル類の吸収促進、ストレスの緩和など、広範囲な効果も範疇となる。
そして、ここにきて新しく「シン バイオティクス (synbiotics)」という言葉が使われだした。簡単に言えばプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたもので、双方の機能がより効果的に宿主の健康に有利に働くことを目指すというものだ。
医療の臨末現場においては、シンバイオティクス療法として病態者や術後における感染防御、炎症抑制などにおいてすでに効果を示していた。しかしこれらはあくまでも医師の管理下で行われるもので、今まで、このシンバイオティクスという概念を一般市場に落とし込むといった考えがあまりなかった。
ヤクルト本社は、既に2017年か ら「シンバイオティクス ヤクルトW』を発売していたが、昨年10月からハードタイプヨーグルト「シンバイオティクス ヨーグルトW』を新発売した。「生きて腸内に到達する乳酸菌シロタ株と、腸内の乳酸菌を増やすガラクトオリゴ糖を一緒に摂ることができる」と言うのがその宣伝文句だ。そして、商品正面には「シンバイオティクス」の大きな文字が躍る。
一方、森永乳業も昨年9月に、「ビフィズス菌BB536』を配合した「ビヒダスヨーグルト」シリーズから、 『ビヒダスシンバイオティクス プロテイン ヨーグルトドリンクタイプ』、 「ビヒダス シンバイオティクス プロテイン ヨーグルト』を発売した。ビフィズス菌BB536に加えて、おなかの中でビフィズス菌を元気にする「食物繊維イヌリン」、さらには、体に必要な栄養素である「たんぱく質」を配合、ビフィズス菌研究50周年の森永乳業だからこそ提案できる3つの健康素材の組み合わせを、これひとつでまとめて摂取することができる。
大手乳業メーカーの動きは、本格的なシンバイオティクス市場の形成を予感させるものだが、少し前までの腸内細菌研究は、検体から一つひとつの菌を分離培養して調べるしか方法はなく、多くの時間と手間がかかる割にはその研究はなかなか進まなかった。
しかし、21世紀に入ってオミッ クス解析という手法が可能になった。次世代シーケンサーという機器の登場によって、検体から菌を分離培養しないで、検体丸ごとからDNAを抽出して菌種を同定することが可能になり、それまでほとんどが培養不可能であった腸内細菌の全菌種(細菌叢) が明らかになった。これによって食品としての機能性研究だけでなく、医療の診断・治療・検査部門までにも革新的な変化をもたらした。
中でも、「メタボローム解析」という手法は、腸内細菌の研究に長足の進歩を与えた。この解析によって腸内細菌がプレバイオティクスを餌として作り出す脂肪酸などの数千種類におよぶ代謝産物の総体を網羅的に解析することが可能となり、それらの代謝産物の機能性も次々と明らかになってきた。
乳酸菌生産物質を製造する光英科学研究所は、この技術を活用して原液を解析。乳酸菌生産物質に含まれる物質の機能性を明確にすることにより、人の体にどのように役立つ物質が存在しているのかをDNAレベルで証明するため、国産無農薬大豆から作成した豆乳を培養基として発酵させた複合乳酸菌生産物質についてメタボローム解析を実施。その結果、34のペプチドを含む水溶性235種、脂溶性117種の計353種の代謝産物を検出している。
メタゲノム技術を駆使すれば、まとめて500種の解明が可能になり、代謝物質の特定も可能となる。近年の研究からは、代謝産物の1つである酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が多くの有益な機能を持っていることが徐々に明らかになってきている。これらの研究は細菌自体の遺伝子情報を網羅的に解析することができる「マイクロバイ オーム解析」等と組み合わせる形で、今後さらなる新機能が次々と発見されることは間違いない。
取材:Premec RD編集部
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